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1/48 雷電21型

2024年5月完成

1/48  雷電21型 完成写真

作品説明

1945年 第352海軍航空隊 搭乗員不明の小隊長機

日本機特有の塗装の剥げ、いわゆる「剥げチョロ」が進行した濃緑色塗装機の習作です。私も日本人ですので、旧日本軍の機体は当然、嫌いなわけないのですが、①剥げチョロ表現方法 ②濃緑色塗装の表現方法といった、自分の作風(完成形のイメージ)が定まらず、自信が持てずに長年、余暇が出来てからも、製作を躊躇っていました。

それが遂に塗装方針が定まったので、まずはそれを実践して仕上がり具合を確認したく、塗装済み完成ジャンク品を購入し、リペイントしたものです。言うなれば試作機ですが、実は1/48スケール日本機としては第一号作品となります。

マーキングについては、リペイント前は超ポピュラーな352空青木中尉の電光2本線のデカールがキレイに貼られてましたが、リペイント時に全てのデカールを剥いだので、アシタのデカールの352空小隊長機の電光1本線を購入して貼りました。

さて、塗装表現についてですが、①剥げチョロについては、一式陸攻のムック本の記事により、メタルプライマー塗布による足付けを省略し、アルクラッド処理だけ施したベアメタルの外版に、金属に対して食い付きの悪い塗料を直接吹き付けていたため発生不可避であったものと判明。濃緑色塗装に移行する以前の零戦の明灰白色塗装は、まだ余裕があったためか、定番の塗装工程であるメタルプライマー⇨地塗り⇨中塗り⇨仕上げ塗りをキチンと行っていたため、剥げチョロは滅多に発生しなかったそうです。その後(デカい一式陸攻は最初から)塗装工程を大幅に簡素化したのは、塗料も当時大変貴重な石油化学製品だし、厚塗りすると重くなるからとか、日本固有の事情があったのでしょう。結果として、良く触る/踏む箇所、硬いものが当たった箇所、パネルや点検ハッチの縁の塗装が剥げやすいのは道理。剥げ方は文字通り、ペリペリベロリと剥離するものであって、擦れて次第に薄くなり、地が透けてくるものではなかった(それも無くもなかったようだけど)と判明しました。一方、日の丸塗装はそこだけ何らかの足付けを行っていたらしく、滅多に剥離しないと判りました。なお、ハゲチョロは「歴戦の証」とする風潮から、レタッチ補修することはなかったそうです。

②の濃緑色塗装については、映画ゴジラ-1.0 に登場した震電の実物大レプリカに強いインスピレーションを受けました。この機体、グラデーションが定石と真逆なのです。定石ではパネル中央部が明度高め、縁が明度低め、パネルラインは暗色で墨入れのところ、この震電はどちらかというとパネル中央部の色味が濃く、縁が明る目、パネルラインが最も明るいという、「逆グラデーション」になっているのです。加えて、スミソニアン博物館に展示されている実機も、パネルラインが罫書いたように白(銀)色になっており、塗装剥離もライン周辺に発生しています。「これだ!」インスピレーションを得ました。ネット検索したところ、実際に明色で墨入れしている日本機の製作例がまだ少数派のようですが、複数例見つかり、個人的にパネルラインとその周辺の明度を落とす通常の作例より、ずっと共感を覚えました。

この雷電での①②の実践結果に確かな手応えを得たことで、私の旧日本機濃緑色塗装の作風が固まったので、早速本番として、紫電、紫電改製作に着手した次第です。

詳細写真

1/48  雷電21型 写真1

塗装法ですが、まず最初に、自慢出来るほどのスキルは無いにも関わらず、偉そうに語ることを、どうかお許しください。このサイトは自分自身のキット製作に用いた技法と共に、完成作品を実物に加えて画像記録・保存しておくことを主目的としています。その上で望むべくは、モデラー諸氏に、僅かなりともご参考になれば幸いと願っていることを、どうかご理解ください。

さてそのハゲチョロの再現方法ですが、まず全面に銀色を吹き付けます。機体下面はこの銀色が基本色になるので、クレオスC8ノーマル銀色ではなく、200番台の好みの銀色か、ガイアカラーを使いましょう。整形色が明るい場合は黒色のサーフェイサーを吹いてからが良いでしょう。ここで重要なポイントは、とにかくしっかり乾かす事。これを怠るとこの上に吹き付ける同じアクリル系濃緑色と溶着してしまい、私の手法でのハゲチョロは再現できません。しっかり乾いたら濃緑色を吹き付けます。グラデーションは得意な方法でどうぞ。私はクレオスC124 暗緑色(三菱系)を使用、先に明度を上げた濃緑色を吹いた上、原色を吹きました。極細吹きスキルがある人は逆手順でもいいでしょう。グラデーションはごく控えめが吉かと。剥げチョロの表現方法については、この部分は剥がしたいと思っている箇所は、濃緑色を吹く前に、あらかじめマスキングゾルを塗っておきます。ファレホ70.523 LIQUID MASKが塗りやすいかと思います。濃緑色の基本塗装を終えたら、次の3つの行程を①から③の順番で実施し、ハゲチョロを再現します。
①マスキングテープより粘着力の強いテープ(セロファンテープのこと。100均と正規品を使い分けると粘着力の格差により、剥離範囲を多少コントロールできます)を貼り付けて、濃緑色を剥がす。恣意性が無く剝がれるのがこの方法のメリット。パネルラインに沿って通常のマスキングテープで覆い、ハゲチョロに境界線を付けるも良し。
② 上記①では剥がれて欲しかったが剥がれなかった箇所に、硬いもの(私は切れ味の良くないステンレス刃のポケットナイフ使用)を当てて、慎重に剥がしたい箇所をピンポイントで剥がす。
③剥がすのではなく、面相筆で銀色を描き込む。
この手順でハゲチョロ再現すれば、あの「永遠のゼロ」のラストで登場した、猛烈にハゲチョロが進行した零戦二一型と同様の機体表現も再現できるかと思います。

1/48  雷電21型 写真2

剥げチョロ再現できたら、明色でウォッシングします。タミヤT-15ライトグリーンあたりがよろしいかと。震電レプリカに倣い、気流に沿って一部チョーキング(白亜化)も施しましたが、これは必要無いかも。

1/48  雷電21型 写真3

本作品は元がジャンク扱いされたのは、ムラなくキレイに塗装され、デカールもキチンと貼られていたのですが、コクピット内の主計器盤(無塗装)とシート以外のパーツや排気管の取り付けを省略していたりと、どこかおざなり感がある事を見透かされたのではないかと考えます。私はこれは習作と言っても手は抜かず、排気管、コクピット内の照準器、防弾ガラス、サイドコンソール、通信機、ヘッドレスト左右のインテークを自作して取り付け、余っていたパイロットフィギュアを乗せ、ファインモールド金属製20mm機銃銃身に(前縁から突き出ていない1号銃は付属しないので、真鍮パイプ埋め込みました)、ピトー管も取り付けました。おまけに製作中、片脚を紛失するというハプニングに見舞われましたが、キャスト複製パーツで(左右ひっくり返りすので、トルクリンクは切断して付け替えて)リカバーしました。(後に見つかりましたが、キャスト複製パーツだけのことはあり、自分が見てもパッと目、どちらが複製かわからないので、そのまま付けてます。)

唯一習作だからと妥協した点は、機体下面は塗り直さなかったことぐらいかと。

ちなみに雷電を見ると、アニメ「荒野のコトブキ飛行隊」で、雷電奪還作戦エピソードにおけるザラの、実にえちえちとしたお姿が脳内に呼び起こされて、、、、、、

1/48  雷電21型 写真4

余談ですが、エンジン始動には、地上員がクランク刺して弾み車をぐるぐる回し、回転数が十分上がったら、搭乗員が「コンターク!」(「電波人間タック!」(ルが抜けてる)と同様、末尾のトは発音しない。)と叫んでクランクシャフトに接続して、起動していたそうです。この時、掛け声に合わせて搭乗員が決めポーズをビシッと決め、直後に排気管から爆音とともにバックファイアが噴き出せばヒーロー感爆上がり、子供達に大ウケしたのではないでしょうか。