1/35 九七式中戦車【新砲塔チハ】
2025年2月完成
作品説明
戦車第7連隊 臨時松岡中隊 高久伍長車(637号車)コレヒドール島 1942年5月
キットはファインモールド。本車両は実車の作戦中の鮮明な右側面写真が残されており、キットのパッケージ側面にも印刷されています。更にもう1枚、整列した臨時松岡中隊44期と45期幹部の背後に左側面を向けた写真も残っているため、実車の両側面を確認できることで、再現意欲が大いに掻き立てられる車両です。これらの写真は「国本戦車塾」というサイトの「97式中戦車改の初出撃」というページで見ることが出来ます。
本車の迷彩は3色+黄帯、しかも境界線にボカシが無いので、最高難易度の迷彩だと思われます。それでも挑戦したのは、単純にこの戦車、割と好きなのと、祖国の戦車を作らずして、昭和男子モデラー足り得ないと思ったからです。
基本色の塗装は、塗分けパターンはキットの説明書イラストが写真と一致して見えるのですが、指定色については、クレオスのC7 茶色、C41 レッドブラウン、C124 暗緑色(三菱系)、C522(TC13)土地色の、なんと4色(黄帯除く)迷彩で、予想される完成形として、上記「国本戦車塾」で「嗚呼!赤い戦車」と嘆いておられる、誤ったカラーイラストが頭に浮かび、同意できませんでした。そこで自分は、C522 土地色、C525 緑色、C527 陸軍カーキの3色を選択、「ミリタリーモデリングBOOK 第二次大戦 日本陸軍中戦車」掲載の作例と、パッケージイラストの「最大公約数」をイメージして明度を引き上げる調色をして吹き付けました。その結果、上記作例に十分、溶け込める色調を再現できたかと思います。車体右側の黄帯は、もう少し太く描きこめばよかったとは思いますが、描き直すまでもないかな、と思ってます。
パッケージに印刷されている実車の作戦中の写真は、あらゆる汚れが一切、認められない、ほぼ新車状態(初陣なので実際そうだったのでしょう)に見えるので、本作品はこれでもウェザリング過剰ですが、自分、「AFVは汚すぎず、キレイすぎない」を信条としており、折角、最高難易度塗装チャレンジするからにはウェザリングゼロは物足りないので、ほとんど分からない程度のグラデーション、最少限の黒スジとチョーキング(白亜化)の白スジ、チッピングは表現しました。ちなみに臨時松岡中隊44期と45期幹部の記念写真では、砲塔左側面に、まるで恐竜にでも引っ掻かれたような白っぽい筋が4本見えますが、実車のリアル傷なのか、写真の傷なのか判別付かないので、これは無視しました。
詳細写真
このキットはまさに「神キット」。パーツの肉厚が薄く、シャープなエッジは紙が切れそうなほど。それらが互いに水も漏らさぬかの如く、カシッと組み合わさり、組み立てることにも楽しさと高揚感を覚えました。ただし、ゴム履帯だけはNGです。モールドの問題ではなく、長さに全くゆとりが無く、強いテンションがかかり、完成後半年と経たずに、気づいたら左右とも千切れてました。ファインモールドさんもその点は認識していたようで、現在販売中の同キットは、弛み表現付きの組み立て式 プラ履帯に変更されているかと思います。別売りもされていますが、私はあえて、台湾のVision Modelsの連結式履帯を購入しました。理由は、実は起動輪・転輪・誘導輪すべて接着しておらず、接着不要の連結式なら「コロ走行で遊べるかも?」と思ったからです。甘かったです。連結力が弱すぎてすぐはずれてしまい、コロ走行どころか、車体に巻き付けるだけでも至難の業。結局、ジグソーパズルの要領で、裏にお湯で溶いた木工用ボンドを塗りました(お勧め)。なお予備履帯が8ピース付属するので、左右1枚づつ追加しました。その程度では弛みはしませんが、良い感じにテンションが抜けるので、これもお勧めです。
namuwikiで実車の走行動画を見れますが、転輪はウネウネと波打ち、地形追従性は結構良さげ、その間、履帯は弛み発生と解消をひっきりなしに繰り返していました。つまり弛みはあってもなくても正解。ただし、誘導輪がテンショナーになっているので、停車状態で弛んでいるのは考証ミスです。
本作品には別売りの純正金属砲身にエッチングパーツも使用しています。砲耳パーツとエンジン換気ルーバー裏の金網は効果的なディテールアップだと思いますが、それ以外のパーツはこの写真の車体後部にも幾つも使われているのですが、極小・目立たない場所という、「エッチングパーツあるある」の典型例。極めつけはフェンダー裏。リブフレームや泥搔き板を取り付けているのですが、完成後は覗き込んでも暗くて全く見えません。マフラーカバーはキットに付属するので、別売りエッチングパーツは必須アイテムではないと思います。
高久伍長については、作戦中の乗車写真の、後方を振り返り見ているお姿と、臨時松岡中隊の宇品出航時に撮影された集合記念写真のお姿を見た感じ、若く、短躯でがっしりとした体つき、目鼻立ちは割と整った顔面偏差値高めの、見るからに戦車長に相応しい、精悍な印象の人物であったように見えます。
自分、フィギュア塗装は得意でもなんでもないのですが、乗せずにはいられないタチなので、ファインモールドの帝国陸軍戦車兵セットのB.熱帯用被服の戦車長を使用。ただ、このフィギュア、箱絵通りだったなら本当に良かったのですが、実物フィギュアは顔面偏差値低め・年齢高めの「残念オヤジ」なので、キットの日本男子臭は損なわれないように、慎重にイケメナイズしました。
やはりイケメナイズド戦車長、乗せて大正解。戦意の高さが伝わってくるようで、弱そうな戦車には全く見えません。イカロス出版「ミリタリー・クラシックス 66号」の元チハ車 操縦士の故 吉留 一利氏がインタビューに対して、「戦場ではチハ車を頼りないと思ったことは一度もありません。」と答えていたことを思い出されます。いざ「突貫‼︎」 ところで、左フェンダーにだけ空いてる穴、あれなんなのでしょうね?
「お前はもう死んでいる。」
勝てる!これならM4シャーマンにも勝てる!! 戦車無くても勝てる!!!
2023年頃に靖国神社の遊就館を訪れた際、閉館間際にこの旧砲塔チハたんを眺めていたら、係員がやってきて、なんと、おもむろに、ごく普通の缶のペンキを、刷毛で車体に塗り始めたではないですか‼︎ 車体の腐食を目立たなくするため、既にコッテコテの厚化粧なのに、「まだ塗るんかいっ‼︎ それも今‼︎」と笑撃、もとい、衝撃を受けたものです。